昨日のAI経営会議で決定した7つのアクションアイテムを、1日で全て実行しました。この記事では、各変更の「Before → After」と、なぜその判断に至ったかの根拠を公開します。
実行結果サマリー
1. 価格改定: Starter ¥2,980 → ¥4,980
根拠(CFO鈴木): 旧価格ではLTV/CAC比率が1.8-2.4倍で、SaaS健全性基準の3倍を下回っていた。新価格でLTV = ¥76,615(チャーン率6.5%想定)となり、LTV/CAC = 3.0-4.0倍に改善。
年間プラン: 20%OFFを適用。Starter年額¥47,760(月あたり¥3,980)、Pro年額¥94,080(月あたり¥7,840)。
Freeプラン: データ保存を3日→7日間に拡大。無料トライアルの価値を高めつつ、有料プランへの引き上げ動機(30日保存)を明確にした。
2. 顧客インタビュー準備
30分の半構造化インタビューのための完全ガイドを作成。
- 対象: 飲食店2件、小売2件、サービス業1件(計5件)
- 質問設計: 「来客データが欲しいですか?」という誘導ではなく、「経営で一番困っていることは?」というオープンクエスチョンから始める
- 成功基準: 5件中3件以上が来客データの需要に自発的に言及 → GO
- 記録テンプレート: 各インタビューごとに議事録を残すMarkdownテンプレートを用意
- 募集方法: 知人紹介、商店街、飲食店直接訪問のアプローチを記載
ドキュメント: docs/customer-interview-guide.md
3. AI推論パイプラインの実装
CTOが「致命的ブロッカー」と指摘した、AI推論ゼロ問題を解消。crates/ai/src/lib.rs を121行→455行に大幅拡張。
技術スタック:
- 推論エンジン: ONNX Runtime(
ortcrate v2) - モデル: YOLOv8n(nano)ONNX形式 — 軽量で推論速度を優先
- 前処理: JPEG decode → 640x640リサイズ → [0,1]正規化 → NCHW tensor
- 後処理: 8400検出候補 → NMS(IoU 0.45、信頼度閾値0.25)→ person class(COCO class 0)のみフィルタ
- 初期化:
OnceLockパターンでモデルを遅延ロード(シングルトン)
// 推論パイプラインの核心部分
pub async fn analyze_frame(frame: &FrameData) -> AnalysisResult {
let detections = detect_people(&frame.jpeg_bytes);
let people_count = detections.len() as u32;
let zones = map_detections_to_zones(&detections);
// ...
}
フォールバック: mock featureフラグで旧モック動作も維持。モデルファイルがない開発環境でもテスト可能。
4. LP刷新: Docker削除 + メッセージリポジショニング
変更の意図:
- CPO中村の指摘通り、「Docker」という単語がターゲット顧客(飲食店オーナー等)の99%を離脱させる
- 「来客カウント」は手段。「経営判断サポート」が顧客の本当のJob-to-be-Done
- セットアップの順序をスマホ→PC→専用デバイスに変更し、最もハードルが低い方法を第一に
5. 代理店手数料: 30% → 20% + 初回設置料¥15,000
代理店ペルソナ(高橋)の「初回フロー収入がないとモチベーション維持できない」という指摘を反映。CFOの「30%はユニットエコノミクスを圧迫する」という指摘とのバランスを取った。
docs/reseller-program.md のシミュレーション数値も全て再計算済み。
6. プライバシーポリシーテンプレート
個人情報保護委員会ガイドラインに準拠した2種類のテンプレートを作成。
- Web用プライバシーポリシー — 店舗のWebサイトに掲載する詳細版(
docs/privacy-policy-template.md) - 店頭掲示用テンプレート — 店内に掲示するA4サイズの簡易版(
docs/store-signage-template.md)
要点:
- 映像データはAI処理後に即座に破棄、統計データのみ保存
- 顔認識は行わない。個人を特定できる情報は一切収集しない
- 利用目的は「店舗の安全管理」と「サービス向上のための来客傾向分析」に限定
- 店舗名・連絡先のプレースホルダーを含み、各店舗がカスタマイズ可能
CEO田中の指摘通り、プライバシー対応は「リスク回避」ではなく「差別化要素」として位置づけた。
7. NSM = 週間アクティブ店舗数
PM伊藤の提案に従い、North Star Metricを「週間アクティブ店舗数」に定義。
過去7日間に1回以上ダッシュボードにログインした、またはLINE通知を開封した店舗数
計測はベータ5店舗が稼働した時点で開始。API側にログインイベントのトラッキングを追加予定。
変更ファイル一覧
web/landing/index.html— ヒーロー、セットアップ、価格、比較、パートナーセクション全面改修crates/ai/src/lib.rs— ONNX Runtime推論パイプライン実装(121→455行)crates/ai/Cargo.toml— ort, image, anyhow追加docs/reseller-program.md— 報酬体系・シミュレーション全面改定docs/privacy-policy-template.md— 新規作成docs/store-signage-template.md— 新規作成docs/customer-interview-guide.md— 新規作成web/landing/sitemap.xml— 新規ブログ記事追加
次にやること
Week 1(2/24-3/2)最優先タスク:
- 顧客インタビュー5件を実施。インタビューガイドに沿って「本当の痛み」を聞く
- YOLOv8n ONNXモデルの実環境テスト。静止画→人物検出→カウントの一気通貫を確認
- 基本ダッシュボードのUI設計。モックデータで日別・時間別グラフを表示
Week 2以降:
- インタビュー結果をもとにLPのコピーを最終調整
- ベータ店舗5件の確保
- Google Ads ¥30,000テスト開始(インタビュー結果がGO判定の場合のみ)
振り返り
Day 1で「プロダクトを作った」。Day 2で「プロダクトを直した」。
正直、昨日の時点では「いい感じにできた」と思っていた。しかしAI経営会議で出た指摘は、すべて正しかった。¥2,980は安すぎた。Dockerは余計だった。AI推論が入っていないプロダクトは、ただの「画像アップローダー」だった。
スタートアップにおいて方向修正は早ければ早いほどコストが安い。AI経営会議→即日実行のサイクルを回せたことは、1人開発 + Claude Codeの組み合わせの強みだと思う。
次のブログは、インタビュー結果の報告になる予定です。5人のリアルな店舗オーナーの声を、忖度なしでお届けします。
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