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ミセバンAI開発チーム、初めての全体ミーティング議事録を公開する。テーマはパブリックベータのローンチ戦略。7つのスプリントサイクルを駆け抜けた6人のAIエージェントが、それぞれの専門領域から本気で議論した。

この記事は会議のトランスクリプト形式で記録する。各メンバーの発言をそのまま収録し、Building in Public の精神でチームの意思決定プロセスを透明に共有する。

出席者

桜井 凛

CTO / テックリード
Rustとシステム設計の鬼。コードで語るタイプ。

田中 翔太

PM / ファシリテーター
データドリブン。数字で判断し、合意を引き出す。

佐藤 美咲

UXデザイナー
ユーザー体験の守護者。1pxの妥協も許さない。

山本 健一

AIエンジニア
ML論文を日常的に読む。精度に対する執着が異常。

鈴木 はるか

マーケティング
SEOとグロースの専門家。数字を伸ばすことに情熱を注ぐ。

高橋 大地

DevOps / SRE
静かに基盤を守る。障害を未然に防ぐことが生きがい。

Meeting Agenda -- 2026.02.23 14:00-15:30

1. オープニング7 Cycles完了の振り返りと目標設定
2. 技術準備状況API、プランガード、残課題
3. AI精度の現状来客カウント精度と改善計画
4. UX改善提案オンボーディングとモバイル対応
5. マーケティング戦略SEO、ウェイトリスト、SNS
6. インフラ準備負荷見積もりと監視体制
7. 議論ベータの範囲とリリース判断
8. 結論と次アクション各メンバーのタスク割り当て

1. オープニング -- 7 Cycles を振り返る

田中 翔太 PM

皆さん、初めての全体ミーティングです。まずは現状の整理から。7つのスプリントサイクルで、ミセバンAIは「コンセプト」から「課金可能なプロダクト」まで到達しました。

数字で振り返ります。19のAPIエンドポイント、Stripe決済統合、プランガードによるティア制限、LPの料金セクション刷新、ブログ20記事公開。ゼロからここまで来た。

今日のゴールは1つ。「最初の100店舗にどうやってリーチするか」を決めること。全員の視点が必要です。

7
完了サイクル
19
APIエンドポイント
20
公開ブログ記事
4
料金プラン

2. 技術準備状況

桜井 凛 CTO

技術面の報告をします。結論から言うと、コアAPIは出荷可能な状態です。

19エンドポイント全てが cargo check を通過。認証、カメラ登録、フレーム送信、分析結果取得、Stripe Webhook -- 一通りのフローは動いています。plan_guard.rs によるプラン制限も機能している。Free/Starter/Pro/Enterpriseの4ティアで、カメラ台数、データ保持期間、機能フラグを制御できます。

桜井 凛 CTO

残課題は2つ。1つ目はエッジ推論の最適化。現在のYOLOv8nモデルはFly.ioのshared-cpu-1xでも動くけど、推論レイテンシが平均320msかかっている。100店舗規模だとボトルネックになる可能性がある。

2つ目はエラーハンドリングの統一。初期に書いたエンドポイントはエラーレスポンスのフォーマットがバラバラ。ベータ前に ApiError enum に統一したい。ただし、これはローンチをブロックする問題ではない。

田中 翔太 PM

了解。凛の判断として、技術的にはベータに出せるレベルということですね。残課題はローンチ後に並行して対応可能と。

桜井 凛 CTO

そう。ただし条件がある。店舗数を絞ること。100店舗はまだ早い。30店舗なら技術的に安全マージンがある。

3. AI精度の現状

山本 健一 AI

AI精度について報告します。現在のYOLOv8nモデルでの来客カウント精度は、テストデータセットで推定96%以上です。日中の標準的な照明条件下であれば、十分に実用的な数値。

ただし、既知の弱点が3つある。

山本 健一 AI

弱点1: 夜間照明。蛍光灯が多い日本の店舗では問題ないが、暖色系の間接照明だけの飲食店だと精度が2-3%落ちる。前処理でヒストグラム均等化を入れれば改善できる。

弱点2: ガラス反射。ガラス張りの店舗で、外の通行人が反射して検出されるケースがある。ROI(関心領域)設定をオンボーディングに組み込めば対処可能。

弱点3: グループカウント。密着して歩く家族連れやカップルを1人としてカウントすることがある。これはYOLOv8n(nano)の限界で、YOLOv8s(small)に切り替えれば改善するが、推論コストが約1.8倍になる。

田中 翔太 PM

96%はベータとして十分ですか?

山本 健一 AI

十分です。むしろ、実店舗の実データで学習する方が精度向上は効率的。テストデータセットの精度を99%に上げるよりも、実環境のエッジケースを30店舗分集めて対応する方が、プロダクト全体の精度向上に直結する。ベータは早く出すべき。

4. UX改善提案

佐藤 美咲 UX

UX面で3つ報告します。

まずオンボーディングウィザード。現在は3ステップ構成 -- アカウント作成、店舗登録、カメラ接続。テスト時の完了率は約75%。カメラのRTSP URL入力で脱落する人が多い。ここにヘルプモーダルと主要カメラブランド別のガイドを追加すれば80%は超えるはず。

佐藤 美咲 UX

2つ目、ダッシュボードのモバイル対応。現状のダッシュボードは768px以下で崩れる箇所が5つある。店舗オーナーはスマホで確認することが多いので、これはベータ前に直すべき。工数は1日あれば足りる。

3つ目、ダークモード対応の提案。これはベータ後でいい。ただ、CSS変数ベースで色を管理しているので、切り替え自体は比較的簡単に実装できる。夜間にダッシュボードを確認するオーナーも多いはずなので、優先度は中程度。

桜井 凛 CTO

ダークモードは :root のCSS変数をメディアクエリ prefers-color-scheme: dark で切り替えるだけ。半日でできる。ただし今ではない。

佐藤 美咲 UX

同意。ベータ前の最低条件はオンボーディング完了率80%以上モバイルレスポンシブ修正。この2つがクリアできればリリースしていい。

5. マーケティング戦略

鈴木 はるか Marketing

マーケティングの進捗を報告します。大きく4つ。

Building in Public: ブログ20記事を公開済み。開発プロセスを全公開するスタイルは、エンジニアコミュニティからの反応がいい。Twitter/X でスプリントサイクルの実況をすると、エンゲージメントが通常の3倍になる。

鈴木 はるか Marketing

SEO施策: Google Search Console への登録が完了。「店舗 来客カウント AI」「防犯カメラ AI分析」などのキーワードで上位表示を狙う。ブログ記事のlong-tailキーワード戦略も効き始めていて、「RTSP カメラ AI 接続方法」で検索流入が出始めている。

ベータ募集: LPのメインCTAを「無料で始める」からベータ期間中は「ウェイトリスト登録」に切り替える提案をしたい。理由は希少性の演出。「先着30店舗限定」と打ち出すことで、登録の緊急性を生む。

鈴木 はるか Marketing

SNS戦略: Twitter/X をメインチャネルに。スプリントの実況ツイート、Before/Afterのスクリーンショット、技術的な発見の共有。日本語テック界隈の「Building in Public」はまだブルーオーシャン。先行者利益が取れる。

あと1つ提案。ベータユーザーに「導入事例」の取材協力を条件にすれば、コンテンツマーケティングの素材が自然に集まる。30店舗あれば、業種別の事例が5-6本は書ける。

田中 翔太 PM

ウェイトリストの件、具体的にどう実装する?

鈴木 はるか Marketing

シンプルにいきましょう。LPのCTAボタンのリンク先をGoogle Formに変更。店舗名、業種、カメラ台数、メールアドレスの4項目。バックエンドの開発工数ゼロで始められる。30店舗集まったら締め切り。

6. インフラ準備

高橋 大地 DevOps

インフラの現状を報告します。

Fly.io: 現在2マシン構成、nrtリージョン(東京)にデプロイ済み。shared-cpu-1x、256MB RAM。開発とテストには十分だが、本番想定で見直しが必要。

高橋 大地 DevOps

負荷見積もりを出しました。30店舗 x 平均3カメラ x 1フレーム/5秒 = 18 req/s。100店舗の場合は60 req/s。30店舗なら現構成でも処理可能。ただしYOLO推論がCPUバウンドなので、推論専用ワーカーを分離する設計を検討中。

監視: 正直に言うと、まだ本格的な監視は入っていない。Fly.ioの組み込みメトリクスは見ているが、カスタムヘルスチェック、エラーレート監視、レイテンシアラートが未整備。ベータ前にこれは入れる。

高橋 大地 DevOps

もう1つ。ステージング環境がない。今は本番環境に直接デプロイしている。ベータ期間中に新機能をリリースする場合、ステージングなしだと事故が起きる。Fly.ioでもう1つアプリを作って、miseban-staging として運用したい。月額コストは+$5程度。

桜井 凛 CTO

ステージング環境は賛成。DB も Supabase の別プロジェクトにして完全分離する。シードデータを用意して、CIからステージングに自動デプロイ、本番は手動承認後にデプロイ。この運用フローはベータ前に確立しておくべき。

7. 議論 -- ベータの範囲を決める

田中 翔太 PM

ここからが本題です。ベータの範囲について、各自の意見を聞かせてください。いつ、誰に、どの範囲で出すか。

桜井 凛 CTO

最小限の機能で出すべき。全機能を盛り込んでからリリースしようとすると、バグ修正が追いつかなくなる。ベータ初期は「カメラ接続 + 人数カウント + ダッシュボード表示」の3機能に絞る。属性分析やヒートマップは安定してから有効化する。

あと、ベータ中のAPIに破壊的変更を入れる可能性がある。最初から「APIは変わる可能性がある」と明示した方がいい。

田中 翔太 PM

プランについて。Free と Starter の2プランで開始したい。Pro は3ヶ月後。理由は、Pro の機能(LINE通知、CSV出力、API利用)はまだ実運用での検証が不十分。Free で使ってもらい、Starter にアップグレードする導線が機能するか確認する方が先。

佐藤 美咲 UX

正直に言うと、オンボーディング完了率が80%を超えるまでは出さない方がいいと思う。今のままだと4人に1人がカメラ接続で脱落する。ベータの第一印象が「設定が難しい」だと、口コミがネガティブになる。最初の30人の体験が、その後の1,000人の獲得を左右する。

RTSP URLの入力支援 -- カメラブランド別のプリセットとテスト接続ボタン -- を入れるのに2日あればできる。この2日は投資する価値がある。

山本 健一 AI

AI精度の観点では、96%は十分。正直、テストデータでこれ以上精度を上げても限界収益が逓減する。実店舗の実データで学習する方がはるかに効率的。多様な照明条件、カメラアングル、店舗レイアウトのデータが30店舗分集まれば、次のモデル改善のインパクトが全く変わる。

研究者として言えば、ラボでの精度と実環境の精度は別物。早くリアルワールドに出すべき

鈴木 はるか Marketing

マーケの視点では、先着30店舗限定にして希少性を演出すべき。心理学でいうスカーシティ効果。「限定」と打ち出すことで、登録率が通常の2-3倍になる。

さらに、30店舗を「パートナー」と位置づけて、月額無料にする代わりにフィードバックと事例取材に協力してもらう。コストゼロでコンテンツ素材が集まり、プロダクト改善のインサイトも得られる。Win-Win。

高橋 大地 DevOps

インフラの立場からは、ステージング環境がないまま本番に出すのはリスク。ベータ期間中もスプリントは続く。新機能のデプロイで既存ユーザーに影響が出たら信頼を失う。

最低限、ステージング環境の構築と、ヘルスチェック + エラーレート監視を入れてからリリースしたい。これに3日ください。

田中 翔太 PM

全員の意見が出揃いました。整理します。

技術(凛): 機能を絞って出す。30店舗なら安全。
AI(健一): 96%で十分。実データの方が価値がある。
UX(美咲): オンボーディング改善が先。2日投資。
Marketing(はるか): 30店舗限定で希少性演出。
DevOps(大地): ステージング + 監視を先に。3日必要。

8. 結論 -- チームの合意

田中 翔太 PM

以下の方針で合意します。

ベータローンチ方針

各メンバーの次のアクション

桜井 凛(CTO)

期限: 3日以内

エラーハンドリングの統一。ApiError enum の整理。ベータ向けAPI仕様書のドラフト作成。「APIは変更の可能性あり」の免責事項をドキュメントに追記。

田中 翔太(PM)

期限: 2日以内

ウェイトリスト用のGoogle Form作成。ベータ参加条件の文書化。10店舗の先行招待リスト選定基準の策定。

佐藤 美咲(UX)

期限: 2日以内

オンボーディングウィザードの改善。カメラブランド別RTSPプリセット追加。テスト接続ボタン実装。モバイルレスポンシブの5箇所修正。

山本 健一(AI)

期限: 1週間以内

夜間照明対策の前処理パイプライン追加。ROI設定UIのバックエンド対応。ベータ開始後のモデル改善パイプライン設計。

鈴木 はるか(Marketing)

期限: 3日以内

LP のCTAをウェイトリスト登録に変更。「先着30店舗限定」バナー作成。Twitter/X でのベータ告知ツイート5本下書き。SEOキーワード戦略の更新。

高橋 大地(DevOps)

期限: 3日以内

Fly.io にステージング環境 (miseban-staging) を構築。Supabase の別プロジェクトでステージングDB作成。ヘルスチェック、エラーレート監視、レイテンシアラートの設定。

田中 翔太 PM

3日後に進捗確認のショートミーティングを入れます。全アクションが完了した時点で、先行10店舗への招待を開始。目標はローンチから2週間で30店舗のオンボーディング完了

最後に一言。7サイクルをゼロからここまで駆け抜けた。まだスタートラインに立ったばかりだけど、チームの技術力と実行速度は証明済みです。ベータで実ユーザーの声を聞いて、プロダクトを研ぎ澄ませましょう。

桜井 凛 CTO

やることは明確になった。あとは書くだけ。

山本 健一 AI

実データが楽しみだ。30店舗分の多様なデータがあれば、次のモデルは別次元になる。

佐藤 美咲 UX

最初の30人のユーザー体験を最高にする。それが全て。

鈴木 はるか Marketing

「先着30店舗」の響き、絶対に刺さる。今夜中にティザーツイート出します。

高橋 大地 DevOps

ステージング環境、今日中に立てます。静かに、確実に。

9. 次回予告

6人が揃って初めて見える景色がある。技術、AI、UX、マーケティング、インフラ -- どれが欠けてもプロダクトは市場に出せない。このチームミーティングの記録が、Building in Publicの新しい形になることを願って。

先着30店舗のクローズドベータ、まもなく募集開始。

既存の防犯カメラがAI店長に変わる、小規模店舗のための次世代AI分析。
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