ミセバンAIの開発速度を支えているのは、プロンプト駆動開発という手法だ。Claude CodeやOpenClawに自然言語で指示を出すだけで、コードが書かれ、テストされ、デプロイされる。この記事では、実際にどんなプロンプトを打ち、AIがどう動いたかの全記録を公開する。
CTOも驚く開発速度の秘密 -- 人間の実作業は5つのプロンプトを打つだけ。合計3分。
1. プロンプト駆動開発とは
プロンプト駆動開発(Prompt-Driven Development)とは、AIエージェントに自然言語で指示を出し、コード生成・テスト・デプロイまでを一気通貫で実行させる開発手法だ。
従来のソフトウェア開発は「要件定義 → 設計 → 実装 → テスト → デプロイ」というウォーターフォール的なプロセスを踏む。プロンプト駆動開発では、この全工程が1行のプロンプトに凝縮される。
- Claude Code -- コード生成、レビュー、リファクタリングの主力エンジン
- OpenClaw -- 探索的調査、アーキテクチャ設計の壁打ち
- 人間の役割は「何を作るか」の判断と最終レビューだけ
プロンプトは短くていい。意図が明確なら1行で十分。抽象的な要求もAIが具体的な設計に落とし込む。
2. 実際のプロンプト集(時系列)
以下は、ミセバンAIの開発で実際に使用したプロンプトと、その結果の完全な対応記録だ。プロンプトは原文ママ。誤字もそのまま掲載する。
- 6プロダクト横断のスプリント計画を策定
- ブログ記事を3本自動生成
- 未コミットだった17,829行のコードを整理・コミット
- テスト実行 + CI/CDパイプラインの検証
- スプリントサイクル #8 完了報告を自動作成
たった1行のプロンプトから、AIは「完成」「テスト」「会議」「ブログ」「スプリント」の5つの意図を正しく分解し、それぞれを並行して実行した。人間が要件定義書を書く時間よりも、AIが実行を完了する時間の方が短い。
- 「claudflear」を「Cloudflare」と正しく解釈
- Fly.ioカスタムドメイン接続 + SSL証明書の自動発行
- 全28ファイルのドメイン一括移行(
miseban.ai→misebanai.com) - OGPタグ、canonical URL、sitemap.xml、メールアドレス全て更新
- スプリントサイクル #9 ブログ記事(#021)を自動作成
- 再デプロイ完了・動作確認
注目すべきは「claudflear」という誤字をAIが正しく「Cloudflare」と解釈した点だ。さらに「見れるようにといて」(直して)から、ドメイン設定に必要な全ステップ(DNS設定、SSL、URL置換、再デプロイ)を自律的に導き出している。
- ネットワークカメラ自動発見モジュール(
scanner.rs)を新規実装 - WebUIセットアップウィザード(
setup.rs)を新規実装 - ペアリングコード方式の設計 -- 6桁の数字を入力するだけで接続完了
- mDNS/SSDP/ONVIFの3プロトコル対応で自動発見
- PC、Raspberry Pi、ESP-32 全対応のクロスプラットフォーム設計
「おばあちゃんでも使える」という抽象的な要求から、AIは具体的なUXフローを導き出した。カメラの自動発見、6桁ペアリングコード、ステップバイステップのウィザード。人間が「こうしてほしい」と感覚的に伝えただけで、技術的な設計と実装の両方が完成する。
- AI駆動開発方針の宣言ブログ記事を作成
- ブログ運用ガイドをUIに直接組み込み
- 全プロダクトのステータス一覧表を生成
- CTO向けブリーフィング資料の自動作成
- 「些末な議論は排除」原則を開発SOPに明文化
このプロンプトには複数の意図が混在している。(1) AI駆動開発をCTOに理解してもらうための資料作成、(2) 不要な議論を排除する方針の明文化、(3) ブログ運用の仕組み化。AIはこれらを分解し、それぞれに対して適切なアウトプットを生成した。
- 過去4つのプロンプトを時系列で整理
- 各プロンプトの入力と出力を対応表として構造化
- 数値データの集計(ファイル数、行数、所要時間)
- 教訓の抽出と体系化
- この記事そのもの -- メタ的な再帰
プロンプト5は、それ自身がプロンプト5の結果として記録されるという再帰構造を持つ。開発プロセスを記録すること自体が、プロンプト駆動開発の一部として機能している。
3. 数字で見る成果
5つのプロンプトから生まれた全成果を数字で振り返る。
特筆すべきは、人間の実作業時間がわずか3分であることだ。5つのプロンプトを入力するためにキーボードを叩いた時間。それ以外の全て -- 設計、実装、テスト、デプロイ、ドキュメント作成 -- はAIが自律的に実行した。
開発速度のボトルネックは、もはやコーディングではない。「何を作るか」を決める判断の速度だ。
4. 教訓
5つのプロンプトから得られた、プロンプト駆動開発の実践的な教訓をまとめる。
Prompt-Driven Development -- 5つの原則
- プロンプトは短くていい -- 意図が明確なら1行で十分。AIが文脈を補完する。誤字があっても意図は伝わる
- 抽象的な要求が最も強力 -- 「おばあちゃんでも使える」のようなUX要求は、AIが具体的な技術設計に翻訳する。細かく指示するより、ゴールを伝える方が良い結果が出る
- テストとデプロイは自動化必須 -- AIが書いたコードも人間が書いたコードも同じ品質基準。テストなしではマージしない
- ブログは開発ログとして機能する -- スプリント毎に書けば、ドキュメントが自動で残る。Building in Publicが開発プロセスの一部になる
- 人間の役割はレビューと判断 -- コードを書くのではなく、方向を決める。最終責任は常に人間にある
プロンプト設計のコツ
実践を通じて見えてきた、効果的なプロンプトの共通点がある。
- ゴールを伝える、手段は任せる -- 「Reactで書いて」ではなく「ユーザーが簡単に使えるようにして」
- 複数の意図を1文に込める -- AIは「完成させて、テストして、ブログ書いて」を正しく分解できる
- 誤字を恐れない -- 「claudflear」でも「Cloudflare」と解釈される。完璧な文章より、素早い指示が重要
- 文脈はコードベースが持つ -- プロジェクトの構造をAIが読み取るので、背景説明は最小限でいい
5. 次回予告
次のスプリントサイクルでは、プロダクトのコア機能に本格着手する。
Coming Next
- ゼロコンフィグエージェントの完成 -- プロンプト3で設計した自動発見 + ペアリングコード方式を完全実装
- YOLO推論パイプライン -- カメラフレーム受信からYOLOv8推論、カウント結果のDB保存まで
- ベータ募集LP公開 -- 先着30店舗限定のクローズドベータ募集を開始
これらも全てプロンプト駆動で進める。次の記事では、推論パイプラインの構築に使ったプロンプトと、その実行結果を公開する予定だ。
ミセバンAI -- 既存カメラがAI店長に変わる
小規模店舗のための次世代AI分析。
先着30店舗のクローズドベータ、まもなく募集開始。